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愛衣
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『第1章』

私には何もない。唯一無二の才能があるわけでも、文武両道なわけでもない。ただ、ミステリーの小説やドラマが好きなだけの凡人。でも、この密室という状況。脱出を仄めかしながらも、殺人を誘発する要素が多々ある。そんなことを考えていると、ここに連れて来られるまでのことを思い出せない恐怖を忘れるくらいに、胸の高鳴りが抑えられなかった。

 

私は愛衣、16歳。インターネットやテレビ、小説をこよなく愛し、それに1日を費やす。所謂、引きこもりというやつです。この極限状態の中、冷静かつ高揚しているのは私だけかもしれない。みんな冷静を装ってはいるけど、ここに来るまでの経緯がわからないんじゃ怖くもなるよね。でも、私は違う。

だって、私には夢があったから。それはスクリーン越しに見る悪役たち。いっぱい人を殺してるのに賞賛されるその人たちに憧れた。私も、彼らと同じようなことをして、注目の的になりたいって思った。でもそんなことをしたら捕まっちゃうし、外に出て知らない人を殺す勇気もない。でも、今は違う。まるで私のためにお膳立てされたような展開でゾクゾクする。けど、今はまだ何もすべきじゃない。殺人をするにしても、もっと後の方が良いかも。じゃないと、面白みの欠片もない普通の殺人事件で終わっちゃうし。だから、今は協力して信頼を獲得するターンにしよう。

 

『慎一』という男の提案に乗る形で、私は何も言わずに自分の名前が書かれた部屋に入った。特に変わったところなんてない部屋だけど、とりあえず何かこの状況の手がかりなるような物を探した。その中で、一際異彩を放つものを見つけた。手紙だ。そこには、『メインルームの装置の横にある黒いボックスに入れ』とだけ書かれてあった。部屋から出ると、まだ誰もいない。私は書かれてあった場所を探すと、確かに装置の裏に電話ボックスみたいなものを見つけた。こういう置き手紙に引っかかったやつが第一の被害者みたいなパターンはよくあるけど、私の好奇心が背中を押してくれた。

【ボックス内】

『おはようございます! って言っても、挨拶なんてできないか』

誰ですか。そう喋ったはずなのに、声が出ない。

『だって、君が喋ったら時間かかるしさ。それにメタ的な発言だけど、時間かかると何かと不利かもしれないしさ』

心の声が聞こえるんですね。そこの所も詳しく聞きたいですけど、話があるならさっさとしてください。

『オッケー。理解が早くて、助かるよ。単刀直入に言うと、今から君には裏切り者になってもらいま〜す』

とりあえず突っ込むのは置いといて、詳しく説明してもらえるんですよね。

『一回で全て話すのは無理だから、要点だけ話すね』

 

『君は今、殺人事件に適した状況に身を置いている。でもそれは、偶然じゃない。密室空間からの脱出、殺人による報酬、殺すのに打って付けの登場人物。それは全て、用意された舞台装置ということを、まずは頭に置いてほしい。

でも、この舞台には犯人と呼べる人物は存在しない。その理由は、今後の進行上で話すことになるから、君はまたボックスに入るということを忘れないでほしい。

だからもし、殺人が起きたとしても、そこには犯人は存在しない。そこで、君の出番だ。君には、裏切り者としてこの舞台を掻き乱してほしい。犯人をでっち上げるんだ。実際、殺人を起こそうとするやつは現れる。だから、そいつを犯人として吊るしても、君自身が犯人として吊るされても問題ない。ただ、犯人が存在しないことだけは絶対にバレてはいけない』

 

『細かい話は抜きにして、ざっとこんな感じ。わかった?』

わかったような、わからないようなって感じ。

『今はそれでいい。君には他のみんなとは違った観点でゲームを楽しんでもらう。情報は徐々に公開していくから楽しみにしててくれ』

今回はこれで終わりなの?

『あんまり長すぎてもこんがらがるかもしれないしね。それと忠告しておくよ。

 

この後の全体会議は、固有情報と装置についてなどの簡単な話し合い。

でも注意してほしい。君の固有情報の片方は手紙だから言えない。言えるのは1個になるけど、もう一人情報が一つの人がいるから、そいつに話を合わせればいい。

最後にもう一つ、装置について。『沙織』も装置を閲覧するけど、君とは違う内容だ。なるべく彼女から聞き出してから、話を合わせることをおすすめする。

 

ま、全部無視して自分のやりたいようにしてもいいんだけどね〜。以上、解散!』

ボックスを出て一息ついたところで、『沙織』が部屋から出て来た。「何かわかりました?」と聞かれて、慌てた私は咄嗟にボックスのことについて話してしまった。「実は、ここに電話ボックスみたいのがあったから入ったんですけど、よくわかんなくて。沙織さんも入れば、何かわかるかもしれません」と苦し紛れに言った。後になって考えれば、ボックスに出入りしたところを見られていないことなどわかっていたはずなのに。それほどボックスでの出来事に後ろめたい気持ちがあったのかもしれない。その後は、『沙織』がボックスから出るのを、他のみんなが部屋から出るのを待つだけの時間。私はその間も、ボックスでのことについて考えていた。





 

【部屋で見つけた情報】

・置き手紙「装置について」

『メインルームの装置の横にあるボックスに入れ』とだけ書かれた手紙。

 

・CHファイル No.43 「――――」

恐らくは誰かの個人情報が書かれていたと思わせるファイル。写真も説明文も、名前すらも全て黒く塗り潰されているが、下に小さく『新規ファイル制作に伴い、破棄』と書かれている。


 

【行動指針】

・自分が持つ情報をできるだけ公開し、脱出方法を探る。

・置き手紙や装置での出来事を喋らないようにする。

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