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​【エンディング3】

投票の結果、犯人として指名されたのは『愛衣』だった。現場の証拠品を偽装し、『慎一』を犯人に仕向けた他、『沙織』の殺人を未遂で終わらせ、わざと彼女に罪の意識を植え付け、いつでも自白して犯人に仕向けた。それだけでなく、『悟』の心を利用し、偽装の共犯者にした挙句、使い捨てのように犯人として疑わせようとした『愛衣』は、満場一致で犯人として指名された。

 

「全部バレちゃったな。この場にいる全員が疑う材料があるように仕向けたのに、最後には結局自分に帰ってきちゃった」

 

三人を一人一人観察した『愛衣』は、不敵な笑みを浮かべながら、装置へと視線を移した。すると、装置からアナウンスが流れる。

 

『犯人の指名が終了しました。立候補者がいる場合は、その場にある凶器の中からご自由に選んでいただき、処刑を行ってもらいます。いない場合は、こちらがランダムで選んだ方に実行していただくこととなります』

 

『愛衣』はアナウンスを聞き終えると、偽装の殺人現場を作り上げるために使われた凶器である自動小銃を拾い上げ、自分の顳顬に押し当てた。

 

「おい、何をしてるんだ!」

「別に処刑される本人が立候補しちゃいけないなんて言ってないし〜。それに誰かに殺されるくらいなら、自殺した方がマシじゃん」

 

一度『慎一』が静止を促したが、『愛衣』を誰も止めようとはしなかった。誰も自分がやりたいと思わない。誰も自らの手で、『愛衣』を殺そうとは思わなかった。今はルールもない。『愛衣』を撃てば、それはまごうことなき殺人だ。

 

「良かったね、名探偵。これで事件は解決。でも、大事なとこを見落としちゃったせいで全部台無し。この勝負は、私の勝ちだったわけ」

 

そう言い残し、『愛衣』はトリガーを引いて、自分自身を手にかけた。彼女の最後の言葉は何を指していたのか。そんなことを思いながら、出口が開かれるのを待った。

 

すると、周囲の扉が開いていく。外に出られるだと思った矢先、そこには銃を持った連中が現れ、3人に向けてそれぞれ銃を突きつけていた。そこで『慎一』は『愛衣』の最後の言葉と、最初に教えられたルールを思い出した。それは、犯人を当てられなかった場合、他の者は全員処刑と書かれていたことを。ということは、つまり

 

「愛衣は、犯人じゃ…」

 

死んでいるはずの『愛衣』が笑っているように感じたのを最後に、一斉射撃が行われた。その場にいた『慎一』も『沙織』も「悟」も。死体の原型が残らないほどに風穴を開けられ、ブレイクアウトルームは地獄と化していた。

 

『それでは、今回の『Quad Joker’s Game』はここまで。それでは、また来月もお楽しみに〜』

 

END

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