【エンディング4】
投票の結果、犯人として指名されたのは『悟』だった。現場に残された『慎一』の物と思われる証拠品は全て、『悟』が用意した物だった。彼だけは、他のみんなと違い、1回目や2回目の行動時間をメインルームで過ごしていたことから、彼だけが『慎一』の物を確保できた。そのことから、犯人は『悟』という形で幕を閉じた。
「愛衣、どういうことだ! 僕はお前が提案してきたから協力しただけで」
「また私に擦りつけようとしてるの? もう犯人って指名された、それが事実でしょ」
「お前は全部わかってたんだ。疑われれば、最初から僕を捨てるつもりだったんだろ!」
「でも、その凶器とか、慎一の上着。被害者の死体の背中の刺し傷。その全部をクリアできたのは、悟以外にいないじゃん」
「そうだ、お前がこれは死体だって言ったんだ。だから、犯人は愛衣で、僕は無実で…」
堂々巡りになりつつあったこの場を収束させたのは、装置から流れたアナウンスだった。
『犯人の指名が終了しました。立候補者がいる場合は、その場にある凶器の中からご自由に選んでいただき、処刑を行ってもらいます。いない場合は、こちらがランダムで選んだ方に実行していただくこととなります』
アナウンスが聞き、自分が今から処刑される現実を突きつけられた『悟』はその場で崩れ落ちた。すると、『愛衣』が立ち上がり、現場に残された凶器であり、『悟』が偽装したと目される自動小銃を手に取り、『悟』へとその銃を向けた。
「散々私を疑ってきたんだから、私がやってもいいよね?」
「あぁ、任せるよ」
「沙織もいいよね?」
「うん、私はもう銃なんて握りたくないから」
二人に確認を取った後、『愛衣』はその銃を『悟』に向けて、再び構え直した。
「これで哀れな復讐劇もおしまい。哀れだね、悟。恋人共々、犯人として死ぬなんてね」
銃のトリガーを引いた『愛衣』。銃弾は、『悟』の額の中心に綺麗な穴を開けていた。それを見届けた『愛衣』は、銃を持ったまま、その標的を変えた。
「復讐劇はおしまい。一人の女の思い人、彼を連れ戻すための物語はハッピーエンドで終わり。それだと、つまらないよね。たまには趣向を変えようか」
安心しきった『慎一』と『沙織』。二人は抱き合いながら、自分たちが助かったのだと安堵していた。だが、『愛衣』の銃弾は、『慎一』の頭蓋を貫いた。
「え、愛衣?」
「見事犯人を的中したら、全員助かる。でも無理だった場合は、全員処刑。そういうルールでしょ」
そう言って、今度は『沙織』の頭蓋を撃ち抜いた。血の海が出来つつあるブレイクアウトルームを目撃した『愛衣』は、最後に自分の顳顬に銃を突きつけた。
「多分これが、一番つまらない終わり方だよ」
ブレイクアウトルームに銃声が鳴り響き、最後の生存者がその生に終わりを告げた。
『それでは、今回の『Quad Joker’s Game』はここまで。それでは、また来月もお楽しみに〜』
END