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​【エンディング5】

全ての真相は紐解かれた。この事件に犯人はいない。否、これは事件ですらなかった。『Quad Joker’s Game』という番組によって、作られた舞台。その中で犠牲となってしまった人たちの死体を再利用し、再び殺人事件を起こさせるように仕向ける。この真相を隠すために、自分たち番組サイドの人間の息のかかった人物を使って、殺人事件に釘付けにさせる。

 

それが、今回の事件のみならず、今までの事件全ての真実だ。『慎一』や『沙織』、『悟』が見つけた手掛かりや、ボックスでの記憶から、この番組は一般的に配信されている。その視聴者などに声をかけ、参加者を集める。誰もが作り物であると思っていることから成せることなのだろう。

 

『悟』の復讐劇も、『沙織』が『慎一』を連れ戻そうとしたのも、全ては番組サイドに仕組まれていたものだった。

 

 後日談としては、実に簡素なものだった。事件の真相を披露した後から、アナウンスは流れることなく、出口となる扉が開かれた。そして、みんなが脱出し、各々の生活が再び訪れた。番組に関わった人間は皆、逮捕され、この事件で殺人を犯した者は強要されていたと見なされ、無罪となった。

 

『慎一』と『沙織』は二人の時間を取り戻し、『悟』は毎日欠かさず『由紀』にお参りをしている。そんな三人とは裏腹に、ただ一人憎悪に燃える女がいた。

 

「私の大好きな『Quad Joker’s Game』を終わられたお前たちを、絶対に後悔させてやる」

 

女は再び、悲劇の連鎖を繰り返すことにした。そして、『Quad Joker’s Game』は再びその幕を開こうとしていた。

 

END

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