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愛衣
キャラクターシート2

 

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『第2章』

私は違った観点で、この何者かに用意されたゲームを楽しむ。その言葉をこの状況で受け入れることができる人は少ないのかもしれない。でも、私は違う。何故かこの状況にワクワク感を覚えた。その理由は、今はまだわからない。GMっぽい人が後で教えると言っていたし、『沙織』は私と違ってボックスで記憶を見たらしい。この二つを知ることができれば、私は今以上にこの状況を楽しめると、そう思った。

 

・1回目の移動時間

『君はまたボックスに入るということを忘れないでほしい』

その言葉の通りに、私は元いたメインルームへ引き返した。そこで漸くあの話の続きを聞くことができるから。私の部屋からメインルームに繋がる扉を開けた瞬間、人がいた。私は急いで扉を閉めたけど、どの扉が開いたのかを見ていれば誰だったのかはバレてしまう。一方私は人影が見えただけだから、誰だったのかまではわからなかった。ボックスに行けない以上、早急に次の手を考えなくちゃいけない。私はワープ装置のある部屋に前みたいな置き手紙がないかを探した。すると、やっぱりあった。こういった緊急時の対処法はちゃんと用意している点から察するに、余程私が必要なのだろう。手紙を開くと、そこには指示が書かれていた。



 

・置き手紙「もしもの場合」

『もっとも怪しまれぬ行動を取ってもらいたいが、もしもメインルームのブラックボックスが使われていた場合、ゴールとなるブレイクアウトルームにも同様の機械がある。そこを目指して欲しい。何故なら、それぞれに設置されたボックスに最初に入った者のみが、私と話す権利があるからだ。部屋の移動に関して、最も怪しまれず、最も移動の早い場所を用意しておいたので活用するように。そして、凶器を忘れずにブレイクアウトルーム「二-2」まで来たまえ』と書かれた紙。移動する部屋の順番も書かれており、『九-8』、『九-1』、「二-1」が最も近道で、効果的と書かれている。そして手紙の横にはチャフグレネード(電子機器にダメージを与えるもの)が置いてあった

・2回目の移動時間(移動先:九-8)『初期地点:二-8』

【移動先の他選択肢:上下左右全ての部屋 次回より、成る】

 5分の待機時間の中で、私はルールに目を通した。そして、5分が経過してからワープ装置の上に乗り、タブレットを開いて行き先を決めるだけなんだけど、その画面に私は驚いた。私がいる『二-8』を起点に上下左右全ての部屋に移動できるようになっていたから。これが置き手紙に書いていた最も移動が早い場所というやつなんだろう。とりあえず指示書通りに、私は『九-8』を選択し、その部屋に移動した。他にも手紙で書いていた凶器、EMPグレネードとやらがどういった場面で使えるのかと考えつつ、私は指示書と部屋のスクリーンを見比べていた。一応、部屋の捜索っていう名目でやっているけど、手掛かりなんて探しているほど私は暇じゃない。この調子だと、4回目にはブレイクアウトルームに到着できる予定だ。

・3回目の移動時間(移動先:九-1)

【移動先の他選択肢:上下左右全ての部屋、全方位の1部屋分】

 毎回あるこの5分の待機時間に鬱陶しさを感じつつ、私は次に行く部屋を選択する。といっても、もう一択で『九-1』に行くつもりだ。迷いはなかったけど、1つ発見があった。それは、上下左右全ての部屋だけじゃなく、今いる『九-8』の全方位1部屋分も移動の範囲に入っていた。それを見て、面白い仕掛けになっていると少し思いながら、『九-1』へと移動した。その先でも特段やることはないから、気長に15分が経過するのを待った。

・4回目の移動時間(移動先:二-1)

【移動先の他選択肢:上下左右全ての部屋、全方位の1部屋分】

 ルールに書いていた先行捜索タイムとやらの順番が私に回って来たようで、私は誰よりも先にブレイクアウトルームに隣接する『二-1』に到着した。ついて早々、目の前に車椅子の人物がお行儀よくその場にいるのを無視して、私は装置へと近づいた。正面にはカメラが付いているようなので、それを避けつつ、ブラックボックスの中へと入った。

【ボックス内】

『急いで来てもらったところ悪いんだけど、また急いでもらうことになった』

どういうことですか?

『君の先行捜索タイムの5分、その後に沙織が来ちゃうんだよね』

個人個人の行動予測まで出来るんですね。

『こういう立場な以上、それぐらいわからないとね。君には沙織が到着するまでの5分間で、ある程度のことを知ってもらう。足りない部分は自分で補完して欲しい』

それでも一つ教えてください。犯人は存在しないとか言っていましたけど、その理由は何なんですか。

『端的に話すよ。これはマーダーミステリー。君たちはそれぞれ決められたRoleに沿ったキャラクターになってもらっている。それは今回だけじゃなくて、何度も行われている。そして、被害者という役目を持ったのが、今回でいう車椅子の子。あの子は前回、犯人として処刑された子。そういうサイクルでマーダーミステリーは行われている。結局、死体が被害者だから、誰が殺そうとしても犯人はいない。けど、実はお前が犯人だったのかっていう展開を僕たちは望んでいる。だから、君には犯人として誰かを担ぎ、殺して欲しい。それは無論、君でも構わない。でも、犯人がいないという真実だけはバレないで欲しい』

 

そう言ったGMらしきやつは私の頭から霞んで、消えていく。

 

『後は君の記憶を少々と、頭に直接補足情報を流しておく。これ以上、聞きたいことがあっても時間がない。後は君の想像で補完して欲しい。それでは、頑張ってね〜』

 

するとある情景が、私の頭の中に流れ込んで来た。

 

それは、酷いいじめだった。小学生の時、クラスで一番かっこいい男子の告白を断った。それからは地獄だ。女子の醜い嫉妬心が、私を孤独にし、絶望の淵へ叩き込んだ。それからは学校に行かなくなった。中学に上がってもそいつらがいるし、受験するほど頭が良いわけでもない。私の友達はネットにいる。その中でも、『Quad Joker’s Game』というイカれたネット番組の視聴仲間。その番組は妙にリアルで、実際に人を殺したように見えるし、プレイヤーなのに追い詰められ方がリアル過ぎて笑えた。

それを見ている時だけは気持ち良かった。殺される側がいじめの女たち、殺す側が私という妄想をして、妄想の中であいつらを何度も殺した。そんな刺激的な快感を覚えた私に、声がかかった。このゲームに参加しないかと。当然答えはOKだ。殺してもいい、殺されてもいい。どっちでも私の心の穴を埋めてくれるのは、この番組しかなかったから。

私はブラックボックスからゆっくりと抜け出すと、5分が経過していたようで、『二-3』の扉が開いており、そこには人がいた。装置の裏からでも見えたそれは、GMが言っていた通り、『沙織』だった。『沙織』は車椅子の人物にライフルを向けていた。カメラに映らないよう配慮し、自分の部屋から車椅子の人物の背後を狙っていた。その光景を見ていた私はあることを閃いた。自分の凶器であるEMPグレネードは電子機器にダメージを与えることができる。つまり、停電を起こして、『沙織』がやったのか曖昧な状態にすることができるのではないかと。そして、彼女は自分がやったと自覚した上で、別の人物の証拠を捏造すればいいのではと。そうすることでこのゲームを翻弄できる。そのこと考えていると、自分の天才さに惚れてしまいそうになる。

私は『沙織』の様子をずっと見つめ、タイミングを伺った。彼女が撃った瞬間に合わせなければ、これにも多少の爆破音があるから怪しまれてしまう。そして、彼女が引き金を引いた瞬間、私はEMPグレネードを地面に叩きつけた。予定通り、停電になった。復旧までに時間がかかるというアナウンスが流れ、4回目の捜索時間そのものが流れるという形で幕を下ろした。

・5回目の移動時間(移動先:一-2)

【移動先の他選択肢:上下左右全ての部屋、全方位の1部屋分】

5分間の待機の後、絶対に移動しなければならないというルールな以上、移動するしかないから、私は『一-2』に移動した。ここもブレイクアウトルームと隣り合っているから、さっきとあまり変わらない。もし、後から記録とかで私の行動ログとか見られたら、絶対突っ込まれるかもしれないから、何か言い訳を考えとこう。

待機時間の時も考えていたけど、どうしようかと頭を巡らせていた。結果としては、『沙織』の銃弾は外れ、代わりに装置に当たってしまい、カメラが故障したみたいだった。でも、『沙織』は凶器であるライフル銃をこの場に投げ捨てて行った。私は車椅子の女を押し倒した。私が来た部屋『二-1』の扉が開いていたから、バレると思ったけど案外大丈夫だったみたい。材料は結構整ったけど、まだ少し弱い。また誰か来るかもしれないし、それにかけよう。もし最後近くまで誰も来なかったら、今ある材料で現場作り変えるとしよう。

・6回目の移動時間(移動先:二-1)

【移動先の他選択肢:上下左右全ての部屋、全方位の1部屋分】5分間の待機時間を経て、ブレイクアウトルームへの扉が三度開かれる。すると、『三-2』の扉が開き、そこには『悟』がいた。一応私が押し倒したんだけど、被害者として用意されている『由紀』という女が倒れているのを『悟』が見ていたから、それはもう死んでるよ」と伝えると、動揺したのか「違うんだ、僕じゃない」と返してきた。何か勘違いをしているようだから、「大丈夫、私は君の味方

だよ」と伝えた。ここで『悟』と出会ったのはGMのおかげか、何でもいいけど彼はここで使えると思い、転がった死体についての説明をした。もちろん『由紀』ということは伏せて。『悟』は『慎一』への復讐を企んでいる(下部の【部屋で見つけた情報】『GMからのプレゼント2』を参照)。ならこの言葉を受け入れるはずと思い、私は「誰か犯人にしたい人とかいる?」と聞くと、彼は『慎一』という名を即答した。どうやってかは知らないけど、『悟』は『慎一』の衣類や凶器を持っていた。これで私が持っている材料と組み合わせることで犯行を偽装できる。もし露見しても、『悟』に被せればいいだけ。最悪、私が認めてもどちらでも構わない。

説明を終えると残り10分しかなくなっていたから、早急に取り掛かった。まずは『慎一』の小銃を一発天井に撃ってもらった。これは『慎一』の銃で撃ち殺したことを示すためでもあり、『沙織』が銃を外した以上、この死体本来の死因である額の一発の銃痕を利用するため、弾を一発消費する必要があった。そして、次に『慎一』の上着を死体に被せ、袖から手を通して、『悟』のナイフで死体を刺して、血を付着させる。これは返り血を演出するとともに、私の過去の記憶とともに『慎一』が残酷な人間であることを示すため。この役目は、私が買って出た。死体と言えど、人を刺すのは初めてで中々に刺激的な体験だった。そして、猟銃を私が持ち、ナイフは『悟』が持って、各々で隠すことになった。これで現場に残ったのは、血のついた上着と、一発を消費した拳銃だけになった。

・7回目の移動時間(移動先:七-1)

【移動先の他選択肢:上下左右全ての部屋、全方位の1部屋分】

 現場が完成した以上、残ったライフル銃が現場にあっては『慎一』を犯人とするのに妨げになってしまう。だから私は待機時間の後、ブレイクアウトルームから離れた部屋にワープした。場所は『七-1』。そこにライフル銃を投げ置いて、次の捜索時間を待った。これで、私の中では間違いなく現場は完成した。『慎一』が最初に疑われ、次に『沙織』が、最後に私か『悟』が疑われる。これで事件に目を離せなくなって、犯人がいないなんて考えには至らないはずだ。私の計画はパーフェクトだった。

・8回目の移動時間(移動先:七-9)

【移動先の他選択肢:上下左右全ての部屋、全方位の1部屋分】

最後の捜索時間で、また先行捜索タイムが来た。4回目に来た時は危うく『沙織』と鉢合わせるところだったから良かったけど、もういらない。私は更に『七-1』から一番離れられる部屋を選んで、『七-9』に来た。これでGMから教えてもらった部屋移動のトリックが見破られないのと、行動ログを全て見られない限り、私は安全だ。結果は、誰が犯人になるんだろうと考えていると、アナウンスが流れてくる。

『全8回、2時間40分の捜索は終了となります。そこから元の部屋へと繋げるので、少々お待ちください。メインルームに戻り次第報告を行い、どこがゴールとなる部屋なのかを当ててもらうことになります』と告げられる。さてさて、殺人事件は起こり、誰が犯人なのかを決める議論のはじまり、はじまり。

【部屋で見つけた情報】

・ヒント「GMからのプレゼント1、凶器について」

凶器は4つあり、それぞれの部屋に書かれていたトランプマークで決められている。ヒントとして点在しているため、他の人が得ている可能性があるらしい。

『シンイチ』→♠︎ 凶器:小銃(ハンドガン)

『サオリ』→♦︎    凶器:猟銃(ライフル)

『アイ』→♥︎     凶器:EMPグレネード(電子機器にダメージを与えるもの)

『サトル』→♣︎   凶器:サバイバルナイフ

 ちなみに先行捜索タイムはこのマークで順番が決まっている

順番は♣︎ → ♦︎ → ♠︎ → ♥︎となっていて、これを2周する。(計8回)

 

・ヒント「GMからのプレゼント2、人間関係について」

記憶を取り戻した、つまりボックスへと入った者だけ知り得る情報らしい。

『慎一』:Role1。沙織の幼馴染。前回のゲームから初出場。誰も言い返せない理論攻めで犯人を指名し、自身で処刑した。本人の希望により、今大会も出場。

『沙織』:Role2。慎一の幼馴染。慎一を連れ戻すためにゲームに参加。

『愛衣』:Role3。マーダーミステリーを知り尽くし、本番組の視聴者のため参加要請。

『悟』:Role4。前回のゲームで慎一に恋人である由紀を殺され、復讐心に燃えている哀れなやつ。当時はRole2だった。今回の被害者は、恋人の死体。どこまでも可哀想。

 

・ヒント「GMからのプレゼント3、Roleについて」

このゲームではRoleという役割が決められている。

Role1:事件を解き明かす役目。

Role2:1にリアルで近しい人物。大抵は殺害を企てる。

Role3:GMの指令で動く役目。

Role4:EX枠。今回は前大会の雪辱を晴らす復讐者という役割。

 

・ヒント「GMからのプレゼント4、移動方法について」

 9×9の部屋。これは将棋盤を意味しており、君たちの決められた初期地点。そこに置かれた将棋の駒の移動方法が、部屋の移動方法となっている。

『慎一』:『七-5』スタートのため、歩。縦軸の三の位置に到達すると、金へと変化。

『沙織』:『九-2』スタートのため、桂。縦軸の三の位置に到達すると、金へと変化。

『愛衣』:『二-8』スタートのため、飛。縦軸の七の位置に到達すると、竜へと変化。

『悟』:『一-5』スタートのため、王。移動方法は変化しない。

 

愛衣の行動まとめ(キャラの行動確認はこちらを参照ください)

・9×9部屋入出前

 隠し部屋には入ったが、GMとの会話で再びブラックボックスに入るよう指示されたため、ワープ装置には乗らず、メインルームへ引き返した。

 

・1回目の移動時間

 メインルームへの扉を開けると、人がいたためすぐに閉じる。ブラックボックスに入れなかったが、隠し部屋にあった置き手紙を読み、ブレイクアウトルームにもブラックボックスがあることを知る。GMと話せるのは一番最初に入った人だということで、書かれた通りの経路で、ブレイクアウトルームに向かうため、凶器として用意されたEMPグレネードを持ってワープ装置に乗った。初期地点となる部屋は『二-8』。

 

・2回目の移動時間

 初期地点からの移動を開始。移動先は『九-8』。先行捜索タイムはなかったが、タブレットに『次回より、成る』と記されていた。

 

・3回目の移動時間

 移動先は『九-1』。移動候補が増えていたが、特に気にしなかった。

 

・4回目の移動時間

 移動先は『二-1』。先行捜索タイムが付与されたことで、誰よりも早くブレイクアウトルームに到着し、ブラックボックスに入った。GMから犯人は存在しないことを教えられ、犯人がいないという結論にならないようにと言われる。そして、犯人をでっち上げることを指示される。記憶を見せられ、ボックスを出ると、『二-3』から車椅子の人物にライフル銃を向ける沙織を目撃。持っていたEMPグレネードで停電を起こし、沙織が撃ち殺したのかわからない状況を作り上げた。停電については、復旧に少々時間がかかり、4回目の捜索は行えないとのことだった。

 

・5回目の移動時間

 必ず移動しないといけないというルールがあるため、移動を行う。移動先は『一-2』。ブレイクアウトルームに入ると、沙織の撃った銃弾は車椅子の人物ではなく、装置に当たっていた。それによりカメラが故障。そして、ライフル銃がブレイクアウトルームに投げ捨てて行ったようだ。

 

・6回目の移動時間

 移動先は『二-1』。『三-2』にいた悟と遭遇。この死体が悟の恋人であった由紀ということは伏せ、この死体を使って犯人をでっち上げることを提案する。悟は慎一を犯人にしたいようで、悟は慎一の衣類や凶器を持っていたので、それを使って現場作りを始める。

 現場作り:『死体の額に銃痕があることから、それが死因だと思わせるためには弾を一発消費する必要があるため、慎一の凶器の銃を一発天井に撃つ。死因を撹乱させるため、上着に袖だけを通し、上着に血を付着させるために死体に被せ、ナイフで滅多刺しにする。これは愛衣が行った。これで銃殺と刺殺、二つの死因を作り出した』

 その後、この現場に不要なライフル銃とナイフをそれぞれ隠すことになった。

 

・7回目の移動時間

 移動先は『七-1』。ライフル銃は、慎一を犯人にするためには妨げとなる物のため、この部屋『七-1』に置いて行った。

 

・8回目の移動時間

 移動先は『七-9』。先行捜索タイムを与えられたが、何もすることなく時間を過ごす。そこでアナウンスが流れ、捜索の終了が告げられる。

​愛衣移動まとめ

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